寛永通宝の価値を見極めるための重要なポイント

こちらの記事は、初心者が迷いやすい「古寛永」と「新寛永」の違いを軸に、価値を見極めるための重要なポイントをご紹介いたします。

寛永通宝の価値を決定づける「発行年代」の分類

寛永通宝は、発行された時期によって大きく二つのグループに分けられます。まずは手元の銭がどちらに該当するか確認しましょう。

古寛永(こかんえい)

  • 発行時期: 寛永3年(1626年)〜万治2年(1659年)頃
  • 価値の目安: 数百円〜数千円
  • 特徴: 銭の裏面(背)が無地であるものが多く、全体的に丁寧な作りをしています。

新寛永(しんかんえい)

  • 発行時期: 寛文8年(1668年)以降
  • 価値の目安: 額面通り(数円)〜数十万円
  • 特徴: 裏面に「文」などの文字が刻まれたり、波のような模様が入ったりと、バリエーションが非常に豊富です。

見つけたら幸運!高額な寛永通宝の銘柄

寛永通宝の価値が跳ね上がる、マニア垂涎のレア銘柄をいくつか紹介します。

種類(銘柄)特徴・見分け方価値の目安
二水永(にすいえい)「永」の字の上が「二」のようになっている5,000円〜3万円
島屋文(しまやぶん)「通」の字が独特な書体(島屋という商人が鋳造)1万円〜5万円
下榑一分(しもくれいちぶん)材質が銀で作られた極めて希少な試鋳貨10万円以上
小字(こじ)全体的に文字が小さく、余白が広い希少度により高額

寛永通宝の価値を見分ける3つのチェックポイント

古銭鑑定のプロがどこを見ているのか、その裏側を少しだけご紹介します。

① 裏面の「背(はい)」のデザイン

銭を裏返してみてください。

  • 無地: 古寛永の可能性が高い。
  • 「文」の文字: 寛文期に大量生産された「文銭」。
  • 波模様(21波・11波): 「四文銭」と呼ばれ、真鍮製のもの。波の数によって価値が変わります。

② 書体(フォント)のわずかな違い

「寛・永・通・宝」それぞれの文字のハネや払いに注目してください。

  • 「通」のしんにょう: 点の数や角度によって「点通」や「角通」と呼ばれ、希少価値が分かれます。
  • 「宝」の貝: 足の部分が広がっているか、閉じているか。これだけで種類が数十通りに分類されます。

③ 材質と保存状態

  • 鉄銭よりも銅銭: 鉄で作られた「鉄銭」は現存数が多く価値が低いですが、美しい「銅銭」や「黄銅銭」は高く評価されます。
  • 錆の状態: 真っ黒な錆よりも、適度に経年変化を楽しめる「伝世肌」が好まれます。

寛永通宝を鑑定・売却する際の注意点

「寛永通宝 価値」で検索すると、驚くような高値を目にすることもありますが、素人判断での売却にはリスクも伴います。

  1. 絶対に洗わない: 汚れを落とそうとしてクエン酸や磨き粉を使うと、古銭特有の風合いが消え、価値がゼロになることがあります。
  2. 貨幣カタログで照合する: 日本貨幣商協同組合が発行するカタログなどで、自分の持っている銭の書体を細かくチェックしてみてください。
  3. 専門店に一括査定を出す: 寛永通宝は種類が数千にも及ぶため、専門の鑑定士でないとレア物を見落とす可能性があります。

四文銭の「波」の数と天保通宝の見分け方|穴銭の価値を徹底解説

寛永通宝の中でも、特に目を引くのが裏面に波模様がある「四文銭(しもんせん)」です。また、独特の楕円形をした「天保通宝(てんぽうつうほう)」も、蔵や遺品整理でよく見つかる代表的な穴銭です。

「波の数で価値が変わるって本当?」「天保通宝はどれも同じ価値なの?」

そんな疑問を解決するために、四文銭の価値天保通宝の見分け方を詳しく解説します。


四文銭の価値を決める「波の数」の見分け方

裏面に波のような模様(波状紋)があるものは、一枚で四文の価値があった「四文銭」です。この波の数こそが、四文銭の価値を左右する最大のポイントです。

21波(にじゅういちなみ)

  • 特徴: 波の筋を数えると、細かく21本あります。
  • 価値: 発行枚数が非常に多いため、数百円程度のものが多いですが、書体によっては希少価値がつきます。
  • 見分け方: 全体的に波が細かく、ぎっしりと詰まっている印象です。

11波(じゅういちなみ)

  • 特徴: 波の筋が太く、11本しかありません。
  • 価値: 21波よりも発行時期が古く、希少性が高いため、状態が良いと数千円以上の価値になることがあります。
  • 見分け方: 一本一本の波が力強く、ゆったりとした曲線を描いています。

豆知識: 材質が「真鍮(しんちゅう)」でできているため、磨くと金色に近い輝きを放つのも四文銭の特徴です。


天保通宝の見分け方と「本座・地方銭」の価値

独特の楕円形をした「天保通宝」は、江戸時代末期に大量に流通しました。しかし、幕府が作った「本座(ほんざ)」以外に、各藩が勝手に作った「地方銭(ちほうせん)」が存在し、これによって価値が激変します。

天保通宝の価値一覧

種類特徴・見分け方価値の目安
本座・長郭幕府発行の標準品。「通」の字が長い。500円〜2,000円
薩摩官鋳薩摩藩が作ったもの。横に「さ」の刻印があることも。3,000円〜1万円
秋田広郭秋田藩製。枠(郭)が非常に太いのが特徴。1万円〜5万円
会津・南部表面の質感が荒く、独特の書体を持つ。希少度により高額

その他の穴銭との見分け方「3つのステップ」

「四文銭」や「天保通宝」以外にも、似たような穴銭はたくさんあります。それらを見分けるための簡易ステップです。

  1. 形状を確認する
    • 円形なら「寛永通宝」などの一般的な穴銭。
    • 楕円形なら「天保通宝」や「琉球通宝」の可能性大。
  2. 裏面の文字を見る
    • 文字がなければ「古寛永」など。
    • 「当百(とうひゃく)」とあれば天保通宝(百文の価値)。
    • 「当五十」などの文字があれば、地方独自の通貨です。
  3. 材質を比較する
    • 銅色(赤茶色)なら一般的。
    • 黄色っぽい(真鍮)なら四文銭。
    • 黒っぽく錆びやすいのは「鉄銭」で、価値は低めです。

穴銭鑑定で失敗しないためのアドバイス

古銭は、ほんのわずかな「書体の跳ね」や「刻印」の違いで、価値が100倍変わる世界です。

  • 無理に磨かない
    穴銭の表面にある「パティナ(緑青や黒錆)」は、その銭が歩んできた歴史そのものです。ピカピカにしてしまうと、古銭コレクターからの評価は著しく下がります。
  • 側面の「シマ」に注目
    天保通宝などの側面には、偽造防止の「ヤスリ目」や「刻印」があります。ここがツルツルしているものは、当時の偽金(贋金)の可能性もあります。

穴銭に刻まれた幕末の熱量

四文銭の波の数や、天保通宝のずっしりとした重み。それらは、激動の江戸末期から明治にかけて、実際に人々の手から手へと渡ってきた証です。

国立美術館のコインコレクションを眺めるように、お手元の穴銭を一文字ずつじっくりと観察してみてください。波の数を数えるそのひと時が、あなたを江戸時代の市場へとタイムスリップさせてくれるはずです。